フレンチレストランやイタリアンレストランに行くと、注文しなくてもパンがセットで出てくることが多いですよね。とくに海外のイタリアンレストランなどでは、席に座ったと同時にパンのかごを置かれた経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか

レストランで出てくるパン。「このパンって何のため?」と思いながらも目の前にあるとつい食べてしまってパンでお腹一杯になる失敗をした方も多いかもしれませんね。

 

レストランで注文前に置かれるパンは、「これでお腹を少し満たしてゆっくり食事をしてね」という意味合いが含まれています。ただ、これは大食漢の欧米人向けの習慣。パンは日本でいうところの「お通し」みたいな存在ですが、胃の小さい日本人にとってはお通しのパンは量が多すぎるでしょう。食べても食べなくてもどちらもマナー違反にはならないので、お腹の好き具合に合わせればOKです。

フレンチの料理の合間に出てくるパンは、また少し意味合いが異なります。このパンは味をリセットさせるための存在。いわゆる「口の中の掃除役」とし提供されています。コース料理の合間に出るパンの存在は、お腹を満たすためのものではなく、料理と料理の間に挟んで一皿一皿の料理の味が混じらないようにして、次の料理を美味しく頂くために提供されているのです。

実は料理が提供される前にパンが置かれていたとしても先にパンを食べてしまうのは本当はマナー違反なんです。お腹が空いていたとしても目の前にあるパンをガツガツ食べてしまうと「この人マナーを知らないな」という目で見られてしまうかもしれません。

 

意外とみんな知らないマナーですよね。1つ目の料理が出てくるまで待ってから食べるようにすると、お店の方も「この人よく知っているな」という目で見てくれるでしょう。ちなみに、コース料理の途中でパンのおかわりを頼むのはマナー違反でも何でもありませんが、もし食後に食べたりなくてパンを頼むのは……意味合いが違うのはもうおわかりですね。

ワインの試飲会などでもバゲットが一緒に置かれていることが多いのですが、これは胃を満たして酔いにくくするためでもおつまみのためでもなく、味をリセットさせるためのものなのです。パンはパサパサしていますよね。飲み込むときに口の中の粘膜の表面を一緒にこそげとっていくので、その前に飲んだワインの味をリフレッシュさせていく効果があるんです。

 

乾杯にシャンパーニュを飲んだとして、次に白ワイン、その次に赤ワインと何種類かワインを楽しむようなときにもパンは活躍してくれます。ワインの種類が変わるときにパンを食べてから次のワインに移行すると、しっかりリセットされた状態でそのワインの味と香りを楽しむことができるのです。パンと料理、ワインの意外な関係。知っているとよりお料理が楽しめますね。

BY KAMIOKA FUMINA.

Spread the love

Leave a Reply