今回はマンガリッツァ豚について紹介します。

羊の様にフワフワな毛に包まれ、愛嬌のある姿を持つこのマンガリッツァ豚はハンガリー原産の「食べられる国宝」です。その上質な赤肉とトロけるような脂身は神戸牛の豚版と称されています。

マンガリッツァ豚の畜産は200年の歴史がある、ハンガリーの希少な伝統の一つです。その脂肪の含有率の高さから、元々はラード等の製品を作るために品種改良され生み出された特殊な豚であり、第二次世界大戦までは数百万頭単位で畜産されていました。一時は大量の屠殺と20世紀後半からは白豚(赤肉が多く取れる)の畜産が普及したため、約50年前にはその頭数が激減しましたが、2004年にハンガリー国宝に認定され、国家がその希少品種の保護・管理・限定生産を行うようになりました。そして、本国や世界中の牧畜家・高級レストランのシェフ達のサポートにより、その畜産が再び盛んに行われるようになり、そのエリアはドイツ・オーストリア、アメリカ等に広がりました。

各地で品種改良が行われ、その土地に合ったマンガリッツァ豚が育てられており、種類は代表的なものとしてブロンド・ブラック・スワローベリー(ブロンドとブラックの交配種)・赤毛が挙げられ、この4種以外にも交配や品種改良されたマンガリッツァ豚が世界各地に存在するそうです。現在、日本国内の北海道 十勝でも繁殖・販売が行われています。(https://www.google.co.jp/amp/s/www.atpress.ne.jp/news/161482/amp)

脂身より赤肉の方が重視され、白豚の方が優遇された時期はあったものの、マンガリッツァ豚が持つ旨味の強い肉とそのジューシーなのにヘルシーな脂身(不飽和脂肪酸)はとても価値が高いと一流シェフや美食家達に賞賛され、アメリカやヨーロッパをはじめ世界の高級レストランやホテルでマンガリッツァ豚が肉料理に登場しています。今もハンガリーが最大の生産国ですが、マンガリッツァ豚を食す人口は近年、世界中に拡散しているのです。日本国内でも東京 リッツカールトンホテルや高級料理店等で味わう事が出来ます。また、通販でも購入が可能なようですがその場合は、正規の輸入ルートであるか、品質管理は徹底されているか事前に確認した方が良いですね。

マンガリッツァ豚のルーツ、肉質と味わいについて

マンガリッツァ豚のルーツはヨーロッパ生息していた猪で、スペインのイベリコ豚が唯一現存する同系統の豚です。マンガリッツァ豚はイベリコ豚の従兄弟、とも言われています。夏は暑く乾燥し、冬は−30°にもなる厳しい気候の自然の牧草地で、ほぼ放し飼いで育てられます。

こうする事でストレスフリーな環境を実現し、運動不足を解消しているのです。マンガリッツァ豚は大麦・小麦・ひまわりの種、リンゴ・カボチャ・テンサイ・ドングリ等の自然食品を好んで食べ、1年以上の肥育期間を経て出荷されます。この自然に近い環境は、上質でヘルシーな肉を生み出すのに大きな役割を担っているのです。肉の色は牛肉や猪肉と同じ赤褐色、霜降りで濃厚な旨味と低温で溶ける脂はイベリコ豚とよく似ています。その味を表現するならば、「上品」「優美」「後味がさっぱりしている」等の言葉が相応しいでしょう。一般の三元豚に比べると、脂の融点が10度以上も低く(26°~28°)、この低温で溶ける脂のおかげで調理した後も柔らかく仕上がる特長を持ち、その良質なお肉はシンプルな味付けでも美味しく食べられます。また、豚肉特有の臭みが少なく、ビタミン・チアミン・リボフラビン、亜鉛や鉄分のミネラル・老化防止に良い抗酸化酵素を多く含み、そして、消化しやすく胃に優しいことから健康志向の高い人々に愛されています。

マンガリッツァ豚の肉は熟成させるとより旨味を更に増すことから、生ハム、パンチェッタ、サラミ等の肉製品にも使われています。

マンガリッツァ豚の発祥地 ハンガリーでは、ブタペストのミシュラン星付き第1号レストランがマンガリッツァ豚を創業当時からメニューに載せています。少し前述しましたが、その他世界中の超一流ホテル等でもマンガリッツァ豚の肉料理が出されています。

 

・東京 リッツカールトンホテル

・カルフォルニア  フレンチランドリー

・ニューヨーク パーセ

・シンガポール レザミ

・香港 シャングリラホテル

・ブタペスト オニキス

また、フランスの超一流レストランのThomas Keller’s French Laundry やElven

Madison Parkもこのマンガリッツァ豚に注目しています。

そして、食事だけではなくデザート作りにも良い、とニューヨクタイムズ紙 食の評論家 Ruth Reichl 氏が以前にコメントを発表した事もあります。

「マンガリッツァ豚は最も優れている豚で、そのラードはデザート作りにも完璧!」、「扱いやすい上、美味しくヘルシー。こんな上質なラードは今まで見た事がない!」と絶賛したのです。

この様に、マンガリッツァ豚はそのお肉から脂まで全てヘルシーに美味しく食べられると世界各地で高い評価を受けています。

このA5ランクの和牛肉にも匹敵するマンガリッツァ豚。なんと!来月に開催されるイベントD&M イタリアンナイトのメニューに登場する予定です。楽しみですね。

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